月別アーカイブ: 2014年9月

人事出口戦略シリーズ3人事戦略の入口には熱心で出口には無関心

過去のシリーズは下記からご覧いただけます。
人事出口戦略シリーズ1手切れ金と引き換えに解雇できる首切り法
人事出口戦略シリーズ2首切り法の須要背景~高齢化と定年と年金

高年齢者雇用安定法の改正によって、企業が被害者になったのではありません、野放図に採用しまくった結果でもあります。社員を募集するとき、採用については考えますが、別れる時のことは考えないものです。

状況証拠として、高度経済成長からバブル崩壊までの四半世紀は、他社より優秀な人材の確保が優先され、優秀な社員の採用が、経営者にとっても、人事担当者にとっても重要で(確かに – 人は城ですから – そうなのですが)「優秀な人材を採用せよ」が人事の大命題となり、その「優秀な人事」の具体性が、

・高学歴

・名門校

でした。

個人の能力やベネフィットよりも、門地で決まったわけです(今でもそのようですね)事実、中堅企業であっても何万人もの学生から応募がありますから、出身校で書類選考するしかなかったのも事実。それを煽るように(広告を出して優秀な人材を呼び込もうと)

・就職専門の広告代理店が急成長したり、

・転職情報サイトが乱立したり、

・ヘッドハンティングという新しい転職スタイルが現れたり、

募集企業と応募者をつなぐ就職業界(なるもの)が出来しました。

是この通り、みな「採用する」と「採用される」ことばかりに目を奪われて、採用のあと、離ればなれになるなんて、自ら辞めるか、倒産するか、定年退職するくらいにしか思っていなかったでしょう。要するに、人事の入口戦略には熱心でも、出口戦略は視野に入っていなかったといっていいわけです。

人事出口戦略シリーズ4人事出口戦略に基づく新型雇用形態の増加は近日中に公開します。

2014/10/25
人事出口戦略シリーズ4人事出口戦略に基づく新型雇用形態の増加を公開しました

人事出口戦略シリーズ2首切り法の須要背景~高齢化と定年と年金

過去のシリーズは下記からご覧いただけます。
人事出口戦略シリーズ1手切れ金と引き換えに解雇できる首切り法

解雇は、労使ともにロクな結末になりませんから、円満に別れられる作戦=人事の出口戦略が必要になってきました。

「人事出口戦略」

耳慣れない言葉です。それもそのはず、無かったのですから。この人事出口戦略という用語こそありませんでしたが、辞めることを念頭に採用する(人事出口戦略と同じ)考え方は、古くからありました。

代表的なのが、定年制度。

独仏にも定年制度はあります(米英には-年齢差別になるため-ありません)が、日本には隠居という風習があったためか、日本独自の雇用調整として、明治期あたりから自然発生し、大正から昭和初期にかけて約半数の企業が取り入れていました。

平均寿命が50歳以下の頃ですから、55歳定年は決して早い引退ではありませんでした。

どちらかというと

「辞めてくれ」

という事業主の要請よりも

「老廃業に耐えず」(しんどい。辞めさせてくれ)

という労働者側の懇望によるものだったようです。

平均寿命を基準に定年齢を定める危うさ(乳幼児の死亡率)は別問題としても、「55歳まで働いたら辞める」(定年後は、収めた年金や貯金で食っていく)ことを、労使共に前提として採用・就職し、年功序列と終身雇用と定年制度の三位一体型雇用が続いてきました。

この三位一体型の雇用は、長期的に安定した労働力を需給するシステムで、高度経済成長を支えました。

ところが、時代と産業が移ろい、終身雇用と年功序列が崩れると、定年制度も崩れ去るを得ず、60歳が一般的だった定年を、国は、

「65歳にしろ」
「さもなくば、定年を廃止しろ」
「でなければ、高齢者の継続雇用を社内で制度化しろ」
「以上三つの、どれかを選べ」

と法律に定めました(改正高年齢者雇用安定法/2006年4月1日)

背景には、OECD(経済協力開発機構)からの外圧(?)もありますし、年金や保険の枯渇問題もありますし、少子高齢化の問題もあります。これに悲鳴を上げたのは、企業側で、その後のいきさつは、ご存じの通り。

続きは、人事出口戦略シリーズ3にて。近日中に公開予定です。

2014/9/27
人事出口戦略シリーズ3人事戦略の入口には熱心で出口には無関心」を公開しました。

人事出口戦略シリーズ1手切れ金と引き換えに解雇できる首切り法

お金を払えばクビにできる解雇補償金制度[別名]首切り法が現実になるかも!?そんな時に必要なのが人事出口戦略。この記事では6回にわたって人事出口戦略についてご説明しています。

手切れ金と引き換えに解雇できる首切り法とは

2013年7月21日の第23回参議院選挙で自民党が圧勝し、国会のねじれ状態が解消。これにより与党は、向こう三年間(解散しない限り)、国政選挙を意識せずに政策を決定できるようになりました。平たくいえば、三年間、民意など気にせず、やりたい放題できるわけです。

その結果、やりたい放題やられるのは、どうやら、お勤めのサラリーマンかも知れません。なぜなら、お金を払えばクビにできる解雇補償金制度[別名]首切り法の施行が、ねじれ解消によって、現実のものになろうとしているからです。

首切り法とは、会社が従業員へ、

「手切れ金と引き換えに、クビ」

と宣告できる法律。法律ですから、日本全国のサラリーマン全員に適用されます。

朝「出社してロッカーを開けたら赤い紙(解雇通知)が貼ってあった」という米国型の労働環境が現実のものになろうとしています。これが、首切り法です。

2014年7月現在は、事実上、解雇できません。違法です。解雇が合法なのは、

1)会社の経営が危ないとき
2)解雇しなくてもいいように企業が努力した上で
3)辞めさせる従業員の選定が正当で
4)当事者が納得した

場合に限られます。以上の四要件が揃わない解雇は無効。

これを、整理解雇の四要件といいます。

なんのことはありません、事実上の依願退職のみ合法ですから、社員の側から「辞めます」と言わない限り、辞めさせることはできません(クビにできません)

これが、雇用規制です。雇ったが最後、不祥事でも起こさない限り、雇い続けなければなりませんから(終身雇用)、正社員に甘く、経営者に厳しい環境といっていいでしょう。それを、労使共に公平にすべく、終身雇用を取り払うのが、首切り法です。

ちなみに、終身雇用という法律や制度は、ありません。上記整理解雇の四要件が、結果的に、終身雇用制度をカタチ作りました。ところが、現実には、整理解雇の四要件が整わずに、辞めさせられることなど日常茶飯事。中小零細企業の従業員や経営者ならば、整理解雇の四要件が机上の空論であることは、お分かりになるはず。

退職勧奨(辞めてくれ→ハイわかりました)で円満退社になれば良し、もしも、こじれると、裁判所で解決せざるを得ません。ある弁護士によると「思い当たる節なくしてクビになったら、訴訟を起こせば、だいたい勝てる(現職復帰できる)」そうですが、たとえ解雇が無効になっても、元の職場へ戻りにくいものですし、勝訴までの期間「どうやって食いつなげばいいの?」という現実問題もあって、提訴しない場合が多いそうです。

泣き寝入りですな。

会社としても、解雇無効の訴訟を起こされれば、社員一人あたり数百万円以上のカネが消えるため、そこで示談という決着もあるそうですが、会社も社員も泥仕合の消耗戦になること必至。どのみち、解雇は、ロクな結末にならないということだけは確かなようです。

2014/9/11
人事出口戦略シリーズ2首切り法の須要背景~高齢化と定年と年金」を公開しました。