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飲食フランチャイズチェーン大手の牛角買収がマイナスに働くたった2つの理由

大手焼肉チェーン「牛角」の創業者である西山氏とお会いしたのは今から12年前、20世紀最後の年、2000年のことでした。

わたし成田があるコンビニチェーンに勤務していた頃の話です。当時、わたしは店舗開発の部署にいました。そのわたしの携帯に懐かしい人から電話がありました。

その方は以前、わたしがスーパーバイザーとして担当していたフランチャイズオーナーでした。その方から「ある飲食のフランチャイズチェーンに加盟しようと思っているので一緒に話を聞いて欲しい」と相談されました。

後日、その方に同行して渋谷にあったレインズインターナショナルの本社で行われる事業説明会に出席しました。そこで会ったのが、当時のレインズ社長の西山氏でした。

西山氏は、焼肉店の市場性、日常食として認知された焼肉、外食としての焼肉店の成長性、などを力説していました。今となってもその分析は、妥当性の高いものだったのではないかと感じています。

その後の絵に描いたような急成長については、特に説明するまでもなく、焼肉チェーンと言えば誰でも(特に若い人が)牛角と答えるまでの存在となりました。

そのような存在である「牛角」買収のニュースは、わたしにとって衝撃的なものでした。わたしだけではなく、フランチャイズ業界に身を置く人たちにとっても同様だったのではないでしょう。

また、フランチャイズ業界の人間にとっては、急成長から買収に至る過程でのあのベンチャーリンクとの関係、コンビニチェーンや高級スーパーマーケットの買収といったことも注目せざるを得ないものでした。

今となっては、本業以外の事業の買収が、自身が買収される側になった要因(主因)であることは、否めないのではないでしょうか。

ただ、わたしはその要因と今回の結果の関係についての分析や、急成長からチェーン売却までのフランチャイズ本部としての功罪といったものを論じるつもりはありません。

ある人はこんなことを言っています。

引用元URL
http://blog.tatsuru.com/2012/09/30_1233.php 

事後的に「あのときに私はそう予見していたのだ」と言っても所詮「後知恵」である。あとで賢しらな様子をするよりは、はやめにばんばん予言しておいて、外れたら謝るというのが私のやり方である。こういうことについてはできるだけ断定的な予言をした方がいい。それが自然科学の骨法である。仮説の提示、実験、反証事例の出現、仮説の書き替え。自然科学はそのエンドレスの繰り返しである。だから、科学者はその段階で適切だと思った解釈を断定的に語らねばならない。どうとでも取れる玉虫色の解釈をすること(「ノストラダムスの大予言」みたいなこと)はしてはならない。どれほど愚かしくても、未来について「これから、こうなる」ということははっきり予測しておいたほうがいいというのが私の考えである。

わたしはもちろん科学者ではありませんが、この考え方には賛意を示すものです。そこでブログ1回目にして最初の大風呂敷を広げて、牛角を買収したコロワイドのこれからを独自の視点で断定的に(これを独断といいます)愚かしくも語ってみたいと思います。

コロワイドの牛角買収は是か非か?
これは問いの立て方が適当ではないような気がします。

コロワイドの牛角買収は成功か失敗か?
これはもっと違うような気がします。

コロワイドの牛角買収は上手くいくかいかないか?
これは分かりやすいのですが、少し問いの立て方を工夫してみます。

1.コロワイドという会社にとって牛角チェーン買収はプラスとなるかマイナスとなるか?
2.牛角チェーン(フランチャイズオーナー)にとってコロワイドに買収されたことはプラスとなるかマイナスとなるか?

このプラス、マイナスは、ここ数年の短期的なものではなく、今後10年間くらいのスパンでみて現在からどちらに作用するかを指すものです。

また、この2つの問いについて別々に論じても良いのですが、その論拠もそこから導かれる予測も結果的に同じになるので(一つになった分けですから当たり前ですね)一緒に考えることにします。

コロワイドにとっても牛角チェーン(フランチャイズオーナー)にとっても今回の買収はマイナスに働くことになるのではないかと思います。

その主な論拠は2つあります。2つともフランチャイズチェーンの特長に由来するものです。

一つ目は、社長(会長)は、企業の顔を呼べるものですが、それを頂く側の社員とフランチャイズオーナーとは全く別のマインドを持っています。

社員は社長(会長)を不可侵な存在として元からそこに居る人として見ます。特に創業者が現役の会長であるコロワイドでは、その傾向は強いと思います。牛角の西山氏もそうであったと思います。

一方で、フランチャイズオーナーはコロワイドの社長(会長)を、可侵な存在として後になってそこに居る人として見ます。

このマインドの違いからもたらされる様々な問題は、システムや契約といったもので短期的に解決できるものではありません。

長い時間をかけて、用意周到に準備された、戦略的思考に基づいた様々な具体策に依ってしか解決することはできないと思います。

コロワイド社長の牛角買収時のインタビューを読む限り、自信に基づいた楽観は見て取れても、畏怖や慎重さは感じられませんでした。

二つ目は、1つ目と密接に関係します、というより1つ目の具体例とも言えます。それはチェーン企業におけるコミュニケーションの考え方と方法です。

企業の代表である社長(会長)の考え方や成文化された方針や戦略、日常に発せられる発言といったものまで、企業の隅ずみまで浸透させることが大切であることは言を待ちません。

それはレギュラーチェーンであっても、フランチャイズチェーンであっても同じことです。違いはここからです。

レギュラーチェーンの場合は、ペーパー1枚で事足りることもあります。(勿論、事足らずのこともあります)ただ、極端を言えば、ある段階までは、トップの価値観の押しつけが功を奏することもあります。

説明責任を求められない立場の人間が、価値観(結果的に正しい)を押しつけることにって、急成長を遂げることは良くあることだと思います。(特定の企業を指すものではなく、ましてやコロワイドやレインズがそうだと言っているのではありません)

フランチャイズチェーンの場合は、そこまでの簡便さや、思い切りの良さを求めることはできません。

この辺の微妙なインプットの差異がもたらす、大きなアウトプットの差異を現実にあった事のように理解することは、コロワイドには難しいのではないか、と思います。

これは、一つ目と同じくコロワイド社長のインタビューを読んで感じたものです。

コロワイドによる牛角チェーンの買収は、コロワイドにとって、また、牛角チェーン(フランチャイズオーナー)にとってプラスとなるか?マイナスとなるか?

いずれにしても、わたしのような部外者が「論ずるより産むが易し」(そんな言葉はありませんが)で、現実的には、その結果(というより傾向)は数字となって表れてくるのではないでしょうか。

静かに、淡々と、ウォッチしていきたいと思っています。(機会があれば経過についてコメントしたいと思います、外れたら謝るというスタンスは持ち続けます)